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京劇の見どころ (その4) 田村容子 第二回京劇講座

「京劇の見どころ」 (その4) 田村容子 第二回京劇講座

Img_20080912_01  次に、京劇の衣装や小道具の代表的な決まりについて説明します。
 まず、戦いの場面に登場する武将は、たいてい写真のような姿で背中に旗を背負っています。この旗は軍勢を表すもので、旗の数はその武将が率いている軍勢の多さを表します。
 もう一つ、第一回でも少しお話しました馬の鞭です。京劇は歴史物語が多いので、登場人物の多くは馬に乗って戦ったり、移動したりします。しかし、京劇では馬そのものが登場することはなく、馬の鞭で馬に乗っていることを表します。
 馬の鞭を手に持っている人がいたら、その人が馬をつれていることを表します。鞭を振り上げているときは、乗っているところを表します。演目によっては、伴奏の胡弓が馬のいななきのような音を出して馬の存在を表すこともあります。

 次に、京劇の動きの型の決まりについて説明します。
 まず、人物の登場・退場ですが、京劇では基本的に舞台の左から登場し、右に退場します。京劇の昔の舞台は正方形で、後ろの一面を除いた三方から観劇できるようになっていました。後ろの面には二つ出入り口があり、左のほうが登場する口で、右のほうが退場する口です。現在では、京劇は普通の洋式劇場の舞台で上演されますが、この決まりが守られているのです。
Img_20080912_02  それから、人物が出てくると、舞台の中央でぐるぐると円をかいて歩くことがあります。これは、長い距離を移動したことを表します。先ほど、舞台装置を使わないというお話をしましたが、人物がぐるぐる歩き出したら、それは場面の転換、違うところへ移動したということを表します。目に見える形でセットが変わるわけではないので、このことを知らないと物語の筋がわかりにくいことがあるかもしれません。京劇は舞台装置を使わないので、俳優の動きだけで簡単に舞台の上の空間を変えてしまうことができるのです。

 京劇の動きには、今申し上げた距離の移動のように、知らないとわかりにくいものもありますが、パントマイムのように見てわかりやすいものもあります。手で戸を開けて足でまたぐしぐさをすれば、それは外から部屋の中に入ったことを表します。
 ドアのセットがあるわけではないので、よく見ていないと見落としてしまいますが、たとえば、同じ舞台の上に二人の人がいるとしても、その二人が顔を合わせているわけではない場面が京劇にはよく出てきます。一人が戸を開けてまたぐしぐさをして、初めてもう一人の人が入り口に迎えに行き、顔を合わすのです。

Img_20080912_03  それから、京劇を初めて見る人に、「時々舞台の上に客席に背を向けて立っている人がいますが、あれは何ですか?」とよく質問されます。
 京劇は、基本的にはその場面の主役の演技を見るものなので、関係ない脇役は、その間演技をしません。現代劇や映画では、そういうことはありません。舞台や画面の、どんな隅っこの人も、何かしら演技をしています。
 京劇では、その場面の中で関係ない人は、演技をしないでただ立っています。それ自体が一種の演技といえるかもしれませんが、主役の演技に反応して何かを言ったり表情を作ったりすることはありません。主役の後ろに沢山の人がただ突っ立っているような場面では、脇役としての「何もしない」演技をしている状態です。

 (第二回京劇講座 おわり)  (その1から読む

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