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幕前ナレーション・解説(案)掲載

 加藤徹先生(明治大学教授)に、この公演の幕前のナレーション・解説案を書いていただきました。その解説案を掲載します。
 加藤先生は、現在、NHK「BS熱中夜話・三国志ナイト」10月16日(木)・23日(木)・30日(木)いずれも24:00~24:44 出演、「世直しバラエティー カンゴロンゴ」監修と出演 NHK総合・毎週日曜夜11:00-11:30、などでも活躍中です。

 このナレーションは、司会と解説者の2人での話ですすめていく形式になっています。
 実際の公演では、幕前のナレーションは公演地ごとに異なっており、使われていないので、ご了承ください。

北京風雷京劇団 日本公演
 ナレーション(or解説)案 by 加藤徹

(舞台上。まだ幕はおりている。幕の前に、司会と解説の二人Img_liv_12の人間が立っている。)

(司会)  これからやる京劇は、どんなお話しなんですか?
(解説)  芝居のタイトルは「扈家荘(こかそう)」。農村の美しい娘が、自分の村を守るために戦う物語です。
 むかしむかし、田舎の村に、きれいな娘がいました。彼女は、顔がきれいなだけじゃくて、心もきれいで、戦うための武芸を学んでいました。特に、槍を使った戦いが得意でした。
(司会)  女の子なのに、槍で戦うんですか?
(解説)  そうですよ。
 むかしの中国では、役人はいばってるばかりで、ちゃんと政治をしませんでした。田舎の村の農民たちは、自分たちの手で、自分の村を守るしかなかったんです。女子供も、武器の使いかたを習ったんですよ。むかしの中国では、政府の軍隊は弱かったけど、農民の軍隊は強かったんです。
 で、この芝居の主人公である美人の娘も、自分の村と家族を守るために、一生懸命、武器の使いかたを習いました。

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演目 美猴王・鬧天宮(びこうおう・とうてんきゅう)

美猴王・鬧天宮(びこうおう・とうてんきゅう)

Img_fur_ten_01  美猴王こと孫悟空は、「鬧龍宮(とうりゅうぐう)」では竜王や水族をやっつけて、如意棒(にょいぼう)を手に入れ、「鬧地府(とうちふ)」では地獄の判官や鬼族・化け物をやっつけて、生死簿を破り捨ててしまったので、もう怖いのもなしです。
 天の神様・天帝は、孫悟空を手元で管理しようと考えました。そこで、天宮(天国)にある蟠桃園(ばんとうえん)(天の聖なる桃の園)の看守という任務を与えます。孫悟空は神様の一人になったつもりで、いい気分ですが、、、、、

「美猴王・鬧天宮(びこうおう・とうてんきゅう」

  第一場

(天宮の景色。音楽が始まる。幕があく。照明がつく。仙女が二人、軽々と風に舞うようにして登場。歌いながら、踊る。)

西王母(せいおうぼ)さまの宴会に
世界中の神さまや仙人が集まります
今日は西王母さまのご命令で桃を採りにきました

孫悟空 「ふん!」
(孫悟空が現れる)
孫悟空 「天の桃を盗みにきたふとどき者め、殴ってやる!」
二仙女 「お待ちを。私たちは、桃を盗みにきたのではありません。」
孫悟空 「じゃ、何しにきたんだ?」
二仙女 「西王母さまのご命令で、「蟠桃会」(ばんとうかう)の宴会のため、聖なる桃を摘みにきたのです。」
孫悟空 「蟠桃会の宴会? その宴会にご招待されてる神さまたちの名前を、教えてくれ。」
二仙女 「招待されているのは、西の釈迦如来さま、南海の観世音菩薩さま、五百羅漢のかたがた、上中下の八洞の仙人さまたち、でございます。」
孫悟空 「この孫悟空様は、呼ばれてないのか?」
二仙女 「はてさて、……聞いておりません。」
孫悟空 「チクショウ! 俺様だって、この世界じゃいっぱしの神さまのはずだ。どうして俺様をこの蟠桃会に呼ばねえんだ? よーし、こうなったら瑶池(天の庭園)に忍び込んで、めちゃくちゃにしてやる!」

 西王母(せいおうぼ)は、すべての仙女を統率する仙女です。西王母が瑶池(天の庭園)で宴会をしますが、孫悟空は聞かされていなければ、呼ばれてもいません。二人の仙女からそれを聞いて、天帝にだまされている事に気がつきます。
 孫悟空は、怒って、瑶池に忍び込みます。

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(最初の「美猴王・鬧龍宮」から読む)

演目 美猴王・鬧地府(びこうおう・とうちふ)

美猴王・鬧地府(びこうおう・とうちふ)

Img_kgx_01  「鬧龍宮(とうりゅうぐう)」では、美猴王こと孫悟空は、竜王から定海神針(ていかいしんじん)、つまり如意棒(にょいぼう)をうばいとりました。怒った竜王は、天帝のところに訴えに行きます。天帝は、地府(地獄)の役人・判官(はんがん)に孫悟空を捕らえるように命令します。

「美猴王・鬧地府(びこうおう・とうちふ)」

  第一場

(孫悟空が歌う)

武器を借りに海のなかにもぐって
竜宮城で大暴れして、定海神針を手に入れた
俺は意気揚々と花果山に帰ってきたが
なぜか突然、あたりは夜の闇にしずむ

 舞台は暗転。黒と白の「無常」(死に神)が登場、酔っ払って眠り込んだ孫悟空を縛って、連れ去ります。暗転して、第一場は終わり。

 第二場の舞台は、地府(地獄)。
 地獄の役人・判官や、いろいろな形の鬼族・化け物たちが現れます。 

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(美猴王・鬧天宮 (びこうおう・とうてんきゅう) へつづく)

(美猴王・鬧龍宮 へ戻る)

演目 美猴王・鬧龍宮(びこうおう・とうりゅうぐう)

美猴王・鬧龍宮(びこうおう・とうりゅうぐう)

Sn_551  3つ目は、おなじみ「孫悟空」。
 三蔵法師に出会う前の事、孫悟空は、花果山水簾洞(かかざんすいれんどう)で、猿の王「美猴王」(びこうおう)と名乗り、暴れまくっている頃の話です。三蔵法師に会う前なので、頭のワッカがありません。

「美猴王・鬧龍宮(びこうおう・とうりゅうぐう)」

 竜宮城の中。水族たち、竜王の息子、竜王の娘、竜王が、あい前後しつつ登場。
(竜王が歌う)

渺茫(びょうぼう)たる海と雲のあいだに
魔法の力で神の威厳をたもつ
濛々たる霧のなか
鎧かぶとに身をかためた水族の兵士は勇猛果敢
水晶のように美しき竜宮城は よそ者を入れない
禁を破る者はたちまち命を失い 地獄ゆき

 スッポンと小エビが、あわてて登場
スッポンと小エビ  「申し上げます、エテ公が一匹、わが竜宮に押し入って参りました!」
竜王  「余が見て参ろう。」
孫悟空 「やあ! 「美猴王」様が来てやったぜ!」

 孫悟空がトンボを切って登場

 孫悟空は、手下の猿たちに戦い方を教えていますが、まだこれといった武器を持っていません。そこで、孫悟空は、竜王の住む竜宮城(龍宮)には武器がたくさんあると聞いて、ひとりで竜宮城に行ったのです。

 スッポンと小エビ等の水族や竜王のいる前で、身をひるがえして竜宮城に入り込みます。
 竜王が何をしに来たかを聞くと、孫悟空は武器を貸してもらいたいといいます。

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(美猴王・鬧地府 (びこうおう・とうちふ) へつづく)

演目 覇王別姫(はおうべっき)

 覇王別姫(はおうべっき)

Hb_595  2つ目の話「覇王別姫」(はおうべっき)は、これも有名な中国の史書「史記」(しき)の中のひとつの話です。
 この京劇を背景にした香港・中国合作映画「さらば、この愛/覇王別姫」(1993年、陳凱歌(チェン・カイコー)監督)はカンヌ映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞し、張國榮(レスリー・チャン)、張豊毅(チャン・フォンイー)、鞏俐(コン・リー)などを有名にしました。この映画を見られて、京劇に興味を持った方の多いです。
 今年(2008年)3月、「さらばこの愛/覇王別姫」が舞台化され、東山紀之が女形を演じ、話題になりました。

Hb_590  話は、紀元前3世紀の末。日本では弥生時代の頃です。中国では、秦(しん)の時代末期。秦の始皇帝が亡くなった後、各地で反乱がおこり戦乱の世になりました。
 楚(そ)の国の英雄・項羽(こうう)は「覇王」(はおう)と呼ばれていました。敵対するのは漢(かん)の劉邦(りゅうほう)。紀元前202年、垓下の戦い(がいかのたたかい)において、漢の軍30万によって、楚の軍勢10万は敗退し、丘の上に包囲されてしまいました。
 ある夜、敵である漢の陣地から、楚の歌が聞こえてきました。項羽は故郷がすでに占領されたと思い絶望します。これが「四面楚歌」(しめんそか)の故事です。
 項羽は、妻の虞美人(ぐびじん)(=虞姫(ぐき))との別れが近づいていることと覚悟します。

 虞美人(虞姫)を蘇卓(SU ZHUO:スー・ヂュオ)さん、項羽を焦健琪(JIAO JIAN QI:ジャオ・ジィェン・チー)さんが演じます。

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-> (美猴王・鬧龍宮(びこうおう・とうりゅうぐう))を読む)
-> (扈家荘(こかそう)を読む)

演目 扈家荘(こかそう)

 扈家荘(こかそう)

Img_st_01s 最初のお話「扈家荘」(こかそう)は、日本でも小説、映画、テレビ、漫画に取り上げられている、中国の有名な昔の小説「水滸伝」(すいこでん)の中のひとつの話です。
 水滸伝は、12世紀のはじめ、日本でいうと平安時代の終わりの頃、中国では宋(そう)の時代、梁山泊(りょうざんぱく)というところに集まった、世直しを志した英雄達の話です。

 扈家荘(こかそう)というのは、「扈一族の村」という意味。一族の長の娘である扈三娘(こさんじょう)は、美人で、武芸も優れています。「一丈青」(いちじょうせい)と呼ばれています。
 扈三娘が率いる扈家荘の軍と、梁山泊の王英(おうえい)が率いる軍と戦いになりましたが、扈三娘のほうが強く、王英を捕虜にします。

 今回、上演されるのはここから。
 扈三娘は、敵の本陣にいる宋江(そうこう)も倒そうとします。梁山泊の代表する英雄・林冲(りんちゅう)が攻めて来て、戦いになります。
 扈三娘を程寧(CHENG NING:チォン・ニン)さん・郝莹(HAO YING:ハオ・イン)さんのダブル・キャスト、林冲を王志剛(WANG ZHI GANG:ワン・ヂーガン)さんが演じます。 

+ [ ここをクリックすると、日本語訳(抜粋)を表示します。]

   →[覇王別姫を見る]

演目のあらすじ、日本語訳

 いよいよ、もうすぐ、公演がはじまります。
 公演は中国語で行われますが、舞台横に、字幕で日本語訳を表示します。
 また、パンフレット(有料)には、台本(中国語)と日本語訳の全文が掲載されています。
 日本語訳は、このブログでもお馴染みの加藤徹先生(明治大学教授)にお願いしたものです。

 でも、京劇は、踊りや歌やアクションが多く、わかりやすい、楽しい演劇なので、訳とにらめっこする必要がありません。訳を見なくても、充分楽しめます。

 でも、前もって、劇の内容がわかっていると、もっと楽しめますよね。

 そこで、台本の日本語訳を元に、物語のあらすじやせりふ、歌を、掲載していきます。

 → 演目 扈家荘(こかそう) を見る

 (注) 掲載しているのは、字幕、パンフレット掲載の解説、翻訳とは異なるものになっています、ご了承ください。また、全文を掲載していません。